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院長 山本従道からの病気のお話



全身倦怠について

からだがだるい、気分がすぐれない、疲れやすい、などという訴えは、
一般の診療所で日常的によく出会うものです。
易疲労性、全身倦怠という言葉 で表現されます。

症候論的には、ほとんどすべての病気の人に、多かれ少なかれある症状なので、
鑑別診断的意義 は少ないものです。

病歴的には、いつ頃からの症状か? 持続的か間歇的か? どの程度か?
(朝起きれないとか、仕事を休まなければならないか? 横になって休むほどか?)
他の症状はないか?(随伴症状)などが、大切です。
診断を進めるには、病歴の聴取の後、スクリーニング検査として、
血液検査、心電図、レントゲン検査などを行うことになります。

このように、自覚症状と他客的所見とをあわせ、既往歴や家族歴から鑑別疾患があげられ、
それを診断していくのに必要な検査を行い、
その結果から 確定診断がうまれていくわけです。
なかなか大変な作業になるわけですが、医者の最も大切な一面です。
このようにして、全身倦怠を考えるわけですが、すべてが病気である訳ではありません。

生理的な状態としては、(病気ではないという意味)長時間にわたる労働、精神的緊張の後、
不眠のあとなどにみられ休息により回復するものです。
精神神経的状態としては、(身体的疾患はないが、精神的には不明な状態)神経症が代表で、
不安、頭痛、集中力欠如、不眠、動悸、抑うつ、
食欲不振なども随伴症状として現われることが多いです。
病気がある場合には、随伴症状が多いのですが、
その症状により、関連臓器が絞られていくことになります。
随伴症状に、発熱、発疹、リンパ節腫脹などが認められれば、感染症、
血液疾患などの可能性があります。
さらに関節痛などが認められれば、結合織疾患や 膠原病などのこともあります。

経過が急激なものと、長く続くもので、急性疾患と慢性疾患とにわかれます。
例えば、感染症でもカゼや扁桃腺炎などは、 急性のものですが、
結核などは慢性の経過をとることになります。
随伴症状に、嘔吐、下痢、腹痛、黄疸、腹水など消化器症状を伴えば、
胃潰瘍、胃癌、肝炎、胆嚢炎、膵臓疾患などの可能性もあります。
随伴症状に、動悸、胸痛、浮腫、息切れ、呼吸困難 など
胸部症状を伴えば、心不全、呼吸不全、腎疾患などの可能性も出てきます。

随伴症状に、頭痛、知覚障害、筋肉症状、意識障害など神経筋の症状を伴えば、
神経疾患、筋肉疾患などのまれな疾患の鑑別も必要となります。
随伴症状に、口渇、多尿、体重の変化、血圧の変化 など全身的な症状を伴えば、
糖尿病などの代謝疾患、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患の可能性もあります。
環境因子や職業性因子もチェックが必要で、鉛中毒やアルコール依存、他の薬物の影響、
熱中症や脱水などの水電解質異常も鑑別されなければなりません。

以上やや専門的になり難しくなりました。
もっと簡単にまとめると、他に症状がない全身倦怠感では、一般内科的には
次のような疾患を注意しています。

疲れ、睡眠障害など生理的なもの
脱水、栄養障害など環境因子的なもの
うつなど精神心理的なもの
疾患としては
感染症 / 貧血 / 肝炎 / 心不全
の各臓器の疾患(悪性腫瘍を含む)など

気になることがありましたら、お気軽に、
クリニック・アルペンローゼへお越しください。



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