「恐れるな、わたしはあなたをあがなった。わたしはあなたの名を呼んだ。
あなたはわたしのものだ」(旧約聖書イザヤ書43章1節)。
臓器移植法改正案A案が2009年に可決され(自民党麻生政権下)、2010年の7月から施行される。脳死を人の死と認め、ドナーの年齢制限(今までは15歳未満のドナーを認めず)を撤廃し、親の承諾があれば0歳児でもドナーになれるようになった。移植を待つ患者、特に今まで海外しか選択肢がなかった重篤な心臓病や肝臓病を抱えた幼児や子どもたち、そしてその親御さんにとっては朗報である。しかし、政権末期の麻生首相の下、国際移植学会イスタンブール宣言(2008年)による原則海外渡航移植禁止という決定(これは2009年5月のWHOで採択されることになっていた。根底に自国の患者は自国でという国際医療倫理がある。これは海外渡航移植に頼る日本への批判でもある)に迫られて、あまりに短時間で決められた改正案なので、色々な不備があると思う。もっと草の根で、移植医療に対する啓発を進めていく必要を感じる。
また誤解しないでいただきたいのは、ドナーにならないという権利も、ドナーになるという権利も平等に認められなければならないことである。日本の世論は、ともすれば両極端に振れやすい。移植法改正案が施行されたからと言って、皆がドナーにならなければならないということではないのだ。同時に、ドナーになるという意思表示が確実に尊重されることも担保されなければならない。より成熟した社会になるために、違う立場の人々の意見が公にされ、議論が深まっていってほしい。そして、これ以上、海外の高度移植医療に頼らざるを得ない「医療難民」を増やさないでほしい。なぜなら日本人医師の中に、優秀な移植外科医はたくさんおられ、海外で活躍されている方も多いのだ。優れた医療機器、優れた医療人がいる先進国日本が、移植医療に関して後進国であってはならないと思う。
最後に、私に第二の地上の人生を与えて下さった神と、ドナーとそのご家族に心からの感謝を捧げたい。